代宿の杜集合住宅 'DA'



某企業の社宅を集合住宅としてつくる、というプロジェクト。

土地は30年以上も前に企業誘致用地として造成されたまま放置された場所であった。

そのむかしは谷津の広がる豊かな地域。

台地と谷津の間の斜面林付近であったことが過去の航空写真や地質調査から読み取れた。


この土地に、失われた土地のシステムを取り戻そう。

それがランドスケープのコンセプトの柱となった。


谷津のシステムとは、

台地に降った雨が斜面林崖下で湧水となり田を潤すもの。

今回は住宅の建つ台地状の土地から緩やかに低いところへと落ちる地形やしくみをつくり、

雨水をすぐに排水設備へと受け渡さず、敷地全体にゆっくりと回す計画とした。

大きな「水たまり」も、ゆっくりと地面に還していくためのしかけである。

雨水の動きがなるべく目に見えるようにと考えた。


建築家の提案は、当初より「雑木林に住まう」であった。

20mピッチにまずコナラの木を植え、それをよける形で配棟するという特徴的な計画。

しかし20mは上空から見ない限りは意識されず、いわば

ひそかなる意志の発信塔のような形でコナラはこの土地の主となる。

そのために、雑木林で行われる「更新伐採」をコナラに対して行い、

寿命の短い雑木でも長生きできるようなプログラムを組んでいる。


そして、通常であれば庭が家の周りに在るが、今回は違う。

住宅周りは落葉樹の木立、

園芸の要素が入り込む花壇的役割の庭(ガーデン)はそこから切り離し、

段下にあるアプローチ路を位置づけることとした。

袖ヶ浦の自然植生に倣った「林」の植栽と、四季緑のある「庭」の植栽は、

こうして意識的に差別化している。

また、発信塔となるコナラの足元には野草ターフを植え、

種や根の広がりにより全体が野原となることを目指している。


「観察育みの会」により

自然な林の恵みや美しさ、関わり方などを、住まう方に伝えるとりくみも始めている。



雑誌「ランドスケープデザインNO.84」に掲載

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