Atelier de Fromage 森のチーズテラス
BUILD : 2025
1982年創業のチーズ工房アトリエ・ド・フロマージュ東御本店の改修・新築工事。この折に、敷地全体にも手を入れていくこととなった。
辺りは斜面地で、道路も含め土地全体に概ね10%の勾配があり、標高約900mの土地からは、千曲川を挟んで対岸の八ヶ岳、さらに北西に続く山々がパノラミックに臨めるという特別な眺望がある。冬に積雪はあるけれどドカ雪ではないそうで、我々も、澄んだ明るい空にパウダースノーがきらきらと舞う景色に何度か出会った。土地のもつ清らかな雰囲気。胸がすくような風景体感ができるランドスケープをめざしたいと考えた。
敷地内には様々なランドスケープ的課題があったが、特によく話し合ったのは、石の扱いである。
敷地内の造園は時代ごとに様々な手が加わっており、景石については数種類の岩石が混在していた。この状態をどう考えたらよいか?
土地の成り立ちと周辺の岩石の分布について文献を調べたり、山を歩いて石が火山からばらまかれた様を考察するにつれ、結局すべて地域の石だといってよいという結論をもった。
そのうえで、石の縁取りによる花壇的植栽帯を解体し、石を倒したり埋めたり移動させたりした。掘ると出てくる表面が柔らかい淡橙色の石(スタッフが東御石と呼ぶもの)は、積むには丸いため、草のはらの中にばらまくことで風景を作ることにした。
やることの意味を施主・設計者で何度か確認しながら進めた、
・車廻しの機能を作ることで安全性の向上ばかりでなく車の在る風景を整えること
・下段の駐車場へつながる歩行動線をつくることで全体の背骨が通ること
・盛土してほんの40cm視線を上げることで歩く人の景色が激変すること など、
資本を投じた効果を少しでも多く実感いただけたら、と心から願っている。
| 業務 | ランドスケープ調査・計画・基本実施設計・設計監理・管理アドバイス |
|---|---|
| 施主 | 株式会社アトリエ・ド・フロマージュ |
| 設計統括・建築設計 | 株式会社シーンデザイン建築設計事務所 |
| 施工 | 千広建設株式会社 |
| 工期(2年半) | 第1期 :草屋根と周囲の丘の風景づくり 第2期 :ショップへのアクセススロープ&階段づくり 第2.5期 :レストラン待ちの眺望デッキ 第3期 :レストラン周りと駐車場周辺の改修 ※ほぼ営業しながらの工事 |