神山町町営住宅 ‘大埜地の集合住宅’

BUILD : 2021

2016年、徳島県神山町は「子育て世代の集合住宅」の計画を造園家田瀬理夫、建築家山田貴宏両氏に依頼した。私はそのサポート役に呼ばれ、解体設計に精通した建築家高木雅行氏を加えて「神山町のあす環境デザイン共同企業体」を結成した。さらに「住まいながら業務に携わる協働設計者」を2泊3日のイベントで募集し3名が加わり、建築とランドスケープの境目がないチームを組織した。3人の駐在により、小さな工務店が集まる現場を横に繋ぎ、4工期に渡り職人が入れ替わるなかで技術の伝達もし、コロナ禍で都市部から出られない我々とをも繋いでくれた。企画を担った「神山つなぐ公社」とはたくさんの打合せを重ね、プランや運営へと反映していった。

つなぐ公社により、たくさんの「関わりはじめ」が生まれた。植栽材料となる地域性植物苗づくりや一部芝張や生垣施工は地元の高校生が一部を担い、今後の管理へ関わるきっかけが生まれている。居住者と一緒に草地の管理活動を行うことも、完成した住棟から順に始まっていった。
教育関係や木材、バイオマスエネルギー方面の関係者も多かった。等々、このような登場人物の多いプロジェクトで、設計者としてだけでなくチームの事務局として係ることができたことに感謝したい。

ランドスケープ設計では、当初から町の要望だった「既存建物解体ガラの再利用」を含めて「あるものを活かす」をテーマに、敷地の内外に’あるもの’を探求しながら、既成のものにない断面詳細にも思考を重ねた。時間をいただいて成しえたこれら設計をしっかり町に落とし、つくりだしたハードもノウハウも長く愛されるストックになれればと願う。

>神山町の大埜地の集合住宅のウェブサイトはこちら

業務 解体設計、外構基本・実施設計、監理、高校授業サポート、設計チーム事務局
施主 徳島県名西郡神山町
協働 神山つなぐ公社(ディレクション)
設計体制 神山町のあす環境デザイン共同企業体(ランドスケープ・建築設計を一体とする)
・プランタゴ(全体・ランドスケープメイン)
・ビオフォルム環境デザイン室(JV代表・建築メイン)
・アルキノーバ(解体設計メイン)
・ユニットタネ(事務局・ランドスケープメイン)
・レジデント(現場常駐設計者)
施工 昇旭建設(4工区全域のランドスケープ・外構)
田村建設(解体等)
大南組(解体)
森田緑化(植栽工事)
※建築工事は地元の工務店6社
受賞 2022 キッズデザイン奨励賞(キッズデザイン協議会会長賞)
2022 グッドデザイン賞ベスト100
2023 ウッドデザイン賞入賞
2023 JIA環境建築賞大賞
雑誌掲載 新建築2021年8月号 集合住宅特集
page top